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SMILE CYCLE PEOPLE
野村宏平さん
野村宏平さん
フリーライター
 

東京23区内ならどこへでも愛車のMTBで行くライターの野村さん。趣味で始めた古書店めぐりも仕事になり、その途中で見つけたゴーストタウンを探すことも仕事にしてしまいました。趣味を極めるとその道のプロになる。そんな言葉がぴったりの野村さんは、東京23区のヘリを完全にトレースして走破!

Q:都内ならどこでも自転車というほど、自転車がお好きとのことですが、自転車で走ることが好きになったきっかけは何ですか?
  グランフォンド吉野
10年以上いろんなパーツを交換しながら乗り続けている愛車、GARY FISHERのMTB
A:20年以上前にいい自転車がほしいなと思い、10万円くらいのMTBを買ったんです。それがたったの2ヵ月くらいで鍵をかけていたのに盗まれてしまって、あまりのショックですぐに次のMTBは買わなかったんです。そこから10年くらいはママチャリでちょこちょこ走るくらいだったんですが、1996年に運動不足解消もかねて、MTBを15万円くらいで買いました。いい自転車に久しぶりに乗ったら、走りやすくてどこへでも自転車で行くようになって、いろいろと走るようになりました。その時のMTBを今でも愛用していますよ。

Q:10年以上、そのMTBに乗り続けているんですね。

A:買った当時のままなのはフレームだけで、あとはすべてのパーツが変わっていますけれどね。とても気に入っているので、自分でメンテナンスをしながら、長く長くこのMTBを乗り続けていきたいと思っています。

  足立区と川口市を隔てる新芝川。川沿いはサイクリングロードとして整備されている
Q:最初「東京のヘリを自転車で走った人がいる」という話を聞いたとき、「東京のヘリ」ってどこのことだろう? と不思議だったんです。

A:そうですよね。言葉だけだと皆さんわからないのですが、ウェブサイトを見てもらうと納得してもらえます。

Q:はい。私もウェブサイトを見て納得。東京23区と市の境、そして千葉県、埼玉県、神奈川県との境、東京湾との境のことだったんですね。確かに「東京23区のヘリ」。そこをぐるっと自転車で走ったそうですが、どうして「東京23区のヘリ」を自転車で走ろうと思ったんですか?

A:最初から東京のヘリを走ろうと思った訳じゃないです。話すと長いのですが……まずは古書店めぐりからですね。趣味で昔からミステリー関連の古書店めぐりをしていてしばらく間があいていたのですが、ふとせっかくなので東京23区のすべての古書店をしらみつぶしに巡ってみようと思い立ったんです。そこで電話帳に載っている古書店を2年くらいかけて、自転車ですべて回りました。この時に東京中の街という街を走り回りました。その時にふと「23区内には田んぼってあるのかな?」と思ったんです。畑はあちらこちらで見かけたのですが、田んぼは見なかったんですね。それで田んぼを探してみたくなり、田んぼ探しをかねて、まずは仕事で世田谷の砧に行って時間が余ったときに、多摩川べりを羽田まで1時間くらいかけて走ってみたんです。これが23区のヘリを走った最初なんですよ。

 
葛飾区と八潮市の境界をなす大場川。中川と合流するあたりはヨットハーバーになっている

Q:確かに多摩川は23区と神奈川の境を走っている川ですからね。

A:走っているときに「ここって23区のヘリなんだな」と思ったら、23区のヘリを全部走って田んぼを探してみようかと……思い立ったんです。

Q:大変かも? と思いはしませんでしたか?

A:自転車で走ることが好きなので、大変という考えは全くなかったです。ただ漠然と走るよりも目標があった方が面白いので、楽しんで走ってましたね。

Q:どれくらいの期間で全部を走破したんですか?

A:1日を8時間くらいと考えると、のべ5日くらいだったと思います。

Q:たったの5日ですか? もっと時間がかかったのかと思っていたので意外です。

A:これでも走ったのは1997〜1998年にかけてなので、今よりずっとアナログだったので自分としてはずいぶんと時間がかかったと思います。事前に調べていても現地に行ってみると違っていたりすることもあり、地図を見ながら境界線を探し、そこで写真を撮ったりするので、ただ単純走るだけではないので時間がかかりましたね。それに、道路かと思ってそこに行ってみたら道じゃないところもあったりと、なんだか探検をしているみたいで楽しかったです。



  スタート直前
江戸川区の新左近川
コース
練馬区と埼玉県の境界あたり
Q:境界線って道じゃないこともあるんですね。走っていて困ったことはありますか?

A:なんといってもトイレですね。たいてい公園にはトイレがあるので、事前に地図で公園をチェックしておくんですが、そこになかったりすることもあって、スーパーなどを探してかけこむこともありました。サイクリングをするときは事前にトイレの場所をチェックするのは大切です。

Q:確かにアウトドアで何かをするときはトイレが重要ですよね。事前のリサーチが大切ですね。実際に東京のヘリを走って、田んぼは見つかったんですか?

A:都内には田んぼはなかったですね。ただ、足立区にある都市農業公園の中にちょっとだけ田んぼがあるというのは見つけましたけれど、本格的な田んぼは見つけられませんでした。

Q:東京のヘリを走って、何か気づいたことってありますか?

A:区によって整備状況がずいぶん違うことを感じました。道路や橋といった公共物を見ていると、区の財政状況がよくわかりましたね。

Q:区の財政状況という視点は面白いですね。ただ景色を楽しむだけでなく、その景色を見ながらもいろんな視点から物事を捉えられるのは、きっとライターというお仕事柄なんですね。そんな多才な野村さんにとって、自転車の魅力って何ですか?

A:自分の気分と自分の力で、自分の好きなところに行けること。基本的に一人で走ることが好きなので、気ままに走るのが一番です。


Q:それでは最後に、東京23区内で一押しのサイクリングスポットを教えてください。


A:なんといっても若洲のサイクリングコースが一番! 「Tokyo Borderline」の地図の10番のところです。若洲ゴルフリンクスを囲むように整備されている約6kmのサイクリングロードが最高に走りやすくて、気持ちいいんですよ。片側に緑のゴルフ場、もう片側は海で海外のリゾート地にいるような気分になれるんです。専用コースなので走りやすいし、公園でレンタサイクルもあるので、ぜひ走ってみてください!

琵琶湖
都内でイシオシ! 若洲海浜公園のサイクリングコース


[取材・文・構成・顔写真]うるの加奈  [構成・デザイン]マドマララ小絵






 
東京の端っこってどうなっているの?という単純な疑問から、東京23区の外周を自転車で走破して完成したのが、この「東京端っこサイクリングガイド」です。

区画整理や再開発で、廃屋のまま取り残されて放置されてゴーストタウン化してしまった街並みを取り上げました。今では近代的なビルに生まれ変わっているところもあります。消えゆく街をのぞいてみてください。

日本津々浦々、心惹かれたレトロな風景の写真集。近代建築や、風情のある民家や商店など、あ〜これ懐かしいと思える風景を堪能してください。


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